あなたのぬくもり







いつもの時間、いつもの場所。
それが私たちの、ほんのささやかなデート。


普段よりも、少しおしゃれをして、
両手にバスケットを抱え、待ち人のもとへ駆けていく。




「待っていてくれたのね、アリオス!」



大きな木にもたれかかる銀髪の青年は、
私の声に反応してか、閉じていた瞳を眩しそうに開いた。






「待ってたぜ、宇宙の女王様」













木陰に座り込み、いつものように二人でバスケットを広げる。




―――『約束の地』、それは私たちにとって特別な場所だった。


運命的な再開を果たし、こうしてデートを重ねる・・・

人の訪れも少なく、二人でいることを実感できるからこそ、
私はいつもこの場所で会うことを『約束』していた。






「アリオスはコーヒー、ブラックよね?」
「あぁ、頼む」





私は同じコーヒーでも、お砂糖とミルクをたっぷり入れて。

そういえば、私がコーヒーを飲むようになったのは、
こうしてアリオスと逢うようになってからだったかな、とふと思う・・・














そんなことをとりとめもなく考えていると、
不意に強い風が、置いてあった私の帽子をさらっていってしまった―――



「ちょっと待ってろ、すぐに取ってくるから」



ふと立ち上がるアリオス。


ただ帽子を拾いに行っただけだとわかっているのに、
そのときの私は、なぜかアリオスがこのままどこかに行ってしまうような・・・
そんな不安に駆られて、思わず手を伸ばしてしまった。



「行かないで、アリオス・・・!!」



伸ばした手は、アリオスの袖を掴んだものの、
バランスを崩した私はそのまま倒れこんでしまった。






「お、おい、大丈夫か?」
「うん・・・だいじょう、ぶ・・・ッ!」



立ち上がろうとした瞬間、左足首に鈍い痛みが走る。
倒れこんだときに、少し足を捻ってしまったのかもしれない・・・




「足、見せてみろ」
「でも・・・大丈夫よ、これくらい」
「そうやってお前は平気な顔して無茶をするんだから・・・目が離せない」
「えっ・・・・・・?」
「お前、宇宙の女王様なんだろ?少しは自覚しろよな」




そう言って、アリオスは無理やり私を座らせ、足首を診てくれている。




「少し赤くなってるな・・・痛むか?」
「それほど痛くはないわ。これなら歩いても平気そうかも」
「そんなわけあるか。これから腫れあがってくるかもしれないし・・・仕方ない」





すると、突然のふわりとした浮遊感。




「えっ・・・ちょ、ちょっとアリオス!?」



この格好は、まさに『お姫様抱っこ』の状態。




「は、恥ずかしいわ、アリオス・・・」
「なんだお前、小さな子供みたいに、俺の背中に負ぶさりたかったのか?」
「それは・・・ちょっ、と・・・・・・」
「それなら大人しく俺に掴っていろ。送っていってやるから」




アリオスは飛んでいってしまった帽子を回収し、
器用に私を抱いたまま歩き始めてしまった。
申し訳なくて、バスケットだけはしっかり抱えたまま、アリオスに抱かれていく。







「アリオス・・・あなた、温かいわ」





安心できる、アリオスのぬくもり。
少しでも近づきたくて、自然と掴る手に力が入ってしまう。







もう、あのときのような後悔はしたくない。



そのためには、この温かな腕を決して離さない。
この人のためなら、全てを擲っても構わない。






でも今は、純粋にこのぬくもりに甘えたくて。
そっと、瞳を閉じた―――








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■せつこさんのサイト「Rain Grass
せつこさんとアリコレ合作計画を立て、その際にいただいたものです。
ハァハァ。何といってコレットの可愛らしい事…! 浅田葉子女史の声が自動再生されました。
アリオスと一緒にいてちょこっとずつ味覚が変わっていくというエピソードににんまりです。
アリオスの味覚も把握してるし、つられるようにコレットもコーヒーを楽しむという事を覚え始める…。
アリオスに若干染まってるコレット、愛しすぎです。
せつこさん、萌えをありがとうございました!(私もいいかげん書き終わりたいです)(まだ書き終わってないのかよ)
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